製品知識
使用上の注意点

(1)入力電圧

  1. 地域による電圧の差

    交流入力では使用する地域によって電圧、周波数、相数が異なりますので、確認ください。
    規定以外の電圧を印加した場合、電源の破壊を招くことがあります。
    また、入力電圧に大きな波形歪がある場合、正常に動作しなかったり、動作しても寿命を縮めますのでご注意ください。

    図 5.1 世界の電源電圧

  2. 矩形波の印加

    正弦波交流は実効値で矩形波は波高値で表現します。
    スイッチング電源は入力電圧をコンデンサインプットで整流して、波高値に近い直流電圧を作りインバータを動作させます。
    従って、矩形波を印加する場合は入力電圧仕様値に1.4倍した値を印加する必要があります。
    波高値表示のままで入力を印加すると、正常に動作しなかったり、動作しても寿命を著しく縮めますので、使用前にお問い合わせください。

    図 5.2 正弦波と矩形波

  3. ラインフィルターやチョークコイルの影響

    入力側にインダクタンスの大きいラインフィルターやチョークコイルが入っている場合、入力をスイッチした時それらのインダクタンスによる逆起電力が発生し、入力に過大な電圧がかかり、電源を破壊またはストレスをあたえますのでご注意ください。

    図 5.3 入力に入れたチョークコイルの影響

  4. 進相コンデンサの影響

    3相交流で電流の位相遅れを補正するため、進相コンデンサを使用しますが、入力スイッチの後に進相コンデンサが入っていると、スイッチOFFの時にコンデンサに蓄積されていた電圧が、次のスイッチONの時入力電圧に重畳し、電源を破壊することがありますので、絶対に避けてください。

    図 5.4 進相コンデンサの接続点

(2)入力相数

  1. 単相3線式

    一般に単相の場合は2線式で、その両端に所定の電圧が発生しますが、単相3線式の場合両端が200Vでそれぞれ片側が100Vになります。
    この場合中線が断線すると、2台の電源が直列になり、片方に過大な電圧がかかることがあり、電源を破壊しますので注意が必要です。

    図 5.5 単相3線式入力配線

  2. 3相4線式

    3相交流電源には3相3線式と3相4線式とがありますが、3相3線式が主流のため、3相4線式に適合する電源はありませんのでご注意ください。

(3)入力自動切り替え方式電源

入力自動切り替え(100V/200V)方式の電源は波高値を検出して100Vか200Vかを判断していますので、絶対に矩形波や直流を印加しないでください。

(4)入力電力

高調波電流規制に対応していないほとんどの電源は、入力部分にコンデンサインプット方式の整流・平滑回路を持っています。
そのため電源の入力には歪み波電流が流れ込み、力率が0.5から0.7になっています。
電源に流れ込む電流は以下の式のようになりますので、配電盤の容量や特にトランスを前段に設置する場合、注意が必要です。

入力電力=出力電力/効率/力率

(5)ヒューズの選定

スイッチング電源は安全のため、内部にヒューズを持っています。
外部にヒューズを入れる場合は、入力電流と突入電流を考慮し余裕のあるヒューズを入れてください。
ヒューズが切れた時は電源が故障した時ですので、ほとんどの場合、ヒューズを取り替えても電源は復帰しません。
シリーズ方式の電源にはヒューズを入れておりませんので、外部に必ずヒューズを入れてお使いください。

(6)スイッチの選定

スイッチの選定には投入容量と通電容量を確認する必要があります。
投入容量は電源を投入すると、突入電流が流れますのでそれに耐える容量が必要です。スイッチの許容量を越えると、接点が溶着してONしっぱなしになります。
スイッチには投入容量そのものを規定したものと、通電容量の何倍かを規定したものがあります。通電容量は電源を投入した後、連続して流れる電流に耐えるものを選定します。
シリーズ電源にも突入電流が流れますので、電源の定格電流の10倍以上の投入容量のあるスイッチを選定してください。
DC-DCコンバータをスイッチでON-OFFする場合、短時間のピーク電流が流れますので、それに耐えるものが必要です。

(7)雷サージ対策

入力ラインにはいろんなサージ電圧が発生しますが、その中でも特に大きいのが雷サージです。
フィールドにおける電源の故障は、雷サージによるものが相当分を占めており、その対策は必ず必要です。
雷サージの発生には次の3つがあります。

直(撃)雷 直接雷が落ちることをいいます。エネルギーが大きすぎて電子機器としての対策はほとんど不可能で、外部に別に避雷設備を設ける必要があります。
誘(導)雷 送電線の近傍に落雷した場合、電磁界の急変によって発生するサージ電圧や、雷の先行放電によって、静電的に誘導されるサージ電圧、雷雲の電荷に対し送電線に発生した電荷が、雷の放電によってバランスがくずれ、サージ電圧となって送電線を伝搬するものなどをいいます。
逆フラッシュオーバ 送電線のアース線や鉄塔に落雷した場合、大地のインピーダンスがあるため、落雷地点の大地電位が上がり、それがラインを伝わって電子機器の入力に加わるもので、頻繁に発生します。

図 5.6 誘雷 逆フラッシュオーバ

以上の発生原理からも分かるように、雷サージはライン間より、ライン-大地間に、より大きなものが発生します。
ライン間に発生するサージ電圧は比較的小さいことと、スイッチング電源の場合入力に大容量のコンデンサを持っているので、サージは吸収されます。
ライン-大地間はアースの有る機器はサージ電流がアースに流れるように、回路を設計しますが、この場合でも雷サージ電流はスピードが早いので、線路のインダクタンス成分がきいてきますので、アースの無い機器と同様の考えが必要です。
アースの無い機器の場合は入力に入ったサージ電圧は、機器の浮遊容量を介して大地へ流れます。
この場合、この電流がICなどのサージ電流に弱い素子を経由すると、機器の故障になりますので、シャーシなどを利用してこの電流の経路を作り、弱い素子を経由しないようにすることが必要です。
また地域、地形によって雷の大きさや発生頻度が異なりますので、どの程度まで対策するかが判断を要するところです。
特に屋外機器の場合、入力電源ケーブルや外部に出るケーブルも考慮の上、対策が必要です。
誘雷や逆フラッシュオーバについてはアレスタやサージアブソーバで防止することが出来ます。
ラインフィルターも雷波形をなまらすという点で、効果があります。

図 5.7 雷対策の回路

各サージアブソーバの特長

a.放電型サージアブソーバ

許容以上のエネルギーが加わったときの安全性が高い素子です。
放電開始電圧と放電持続電圧が異なること、および応答速度が遅いため、一瞬高電圧がかかります。

b.酸化亜鉛バリスタ、双方向ツエナーダイオード

応答速度が早く確実に機器を保護します。
許容以上のエネルギーが加わったときはショートモードで破壊します。

(8)最低出力電流の規制

単一出力の電源はすべて0アンペアから出力がとれますが、一部マルチ出力の電源には、メイン出力の電流をある程度流していなければ、サブ出力の電流を100%取り出せないものがあります。
詳細は個別の取り扱い説明をご覧ください。

(9)電源が立上がらない負荷

ランプや定電流負荷の場合、フノ字垂下型の過電流保護回路を持っている電源では、出力が立上がらない場合があります。
これは負荷に電圧がかかってから、所定の安定点に達するまでの負荷のV-I特性の軌跡が、過電流保護特性の垂下線上で安定してしまうために起きる現象ですので、設計時点でこれら負荷特性を考慮してください。
ほとんどの場合、逆L型の過電流保護特性にすれば解決します。

図 5.8 過電流保護特性と負荷のV-I特性

(10)ピーク電流を流す時

  1. 数mSecから数+Sec流す場合

    過電流保護回路動作電流まで流すことができます。
    これ以上の時間流れ続けると、電源が加熱し故障に至る場合がありますので、避けてください。
    過電流保護回路動作電流では電流が不足の場合、マイナーチェンジによってピーク電流に対応できますので、別途にご相談ください。

  2. 数μSecから数mSec流す場合

    出力にコンデンサを追加して流すことができます。
    出力に追加するコンデンサの容量は次の式で決定してください。

    図 5.9 パルス負荷時の追加コンデンサ

    コンデンサは許容リップル電流もご確認ください。
    詳細は当社までご相談ください。
    なお、パルス負荷によっては、電源本体から音が発生することがありますので、静寂な場所でのご使用にあたっては、事前に確認願います。

    発音低減回路例

(11)出力ディレーティング

使用周囲温度や取り付け方によって、取り出せる電流値が変わってきますので、それをディレーティング表に表していますので、その範囲内でご使用ください。
電源の故障率を下げる、または寿命を長くする目的でディレーティングする場合は、後述の信頼性の項を参照ください。

(12)直列運転

複数の電源を直列に接続する場合、以下に示す2つの回路がありますが、a図の場合はまったく問題ありませんが、b図の回路の場合、それぞれの電源の起動時間や立下がり時間の差で、一方の電源の電流が他方の電源に流れ込み、電源が立上がらないものがあります。

図 5.10 直列接続

個別の取り扱い説明に、直列運転の可否を記載しておりますので、確認の上ご使用ください。
ただし、直列運転できない機種でも、以下のように出力ダイオードを入れることによって、直列運転が可能となります。
この場合、順方向電圧が電源内部の整流器よりも低く、片方の電源の電流を瞬時流せるダイオードを選定してください。

図 5.11 直列接続

(13)並列運転・冗長運転

  1. 並列運転(並列運転機能の無い電源の場合)

    図 5.12

    aの場合PS1とPS2の出力電圧に必ず差が有りますので、まず電圧の高いほうからだけ電流が流れ、過電流保護回路が動作し、電圧が下がると、もう一方の電圧の低い電源から電流が流れます。
    従って片方の電源は過電流状態(Io1)、もう片方の電源は出力電流からIo1を引いた値(Io2=Io-Io1)となり、過電流状態になっているので電源の故障率を上げたり、寿命を短くしますので、この使い方には問題があります。
    ただし、過電流設定値を定格電流より低く設定したマイナーチェンジ品で対応可能な場合がありますので、当社までお問い合わせください。
    bの場合出力に抵抗を入れることによって、2台の出力電流のバランスをとるものです。
    抵抗値はどの程度の電流バランスを取るか、抵抗の損失電力をどの程度に抑えるかで、決定します。
    cの例はダイオードの電流ー順方向電圧特性の傾きを利用して、2台の出力電流のバランスを取るものです。
    ダイオードの耐圧、損失電力、放熱を考慮の上ご使用ください。
    ※b、Cの接続については、電源の出力電圧差や負荷の状況によって電流バランスに違いが生じる場合があります。

  2. 並列運転(並列運転機能の有る電源の場合)

    並列運転用のカレントバランス(CB)端子のある電源は、出力をそのまま並列接続してご使用いただけます。
    この場合電源内部の並列運転回路が動作して、自動的にそれぞれの電源の出力電流のバランスをとります。
    詳細は個別の取扱説明書をご覧ください。

  3. 冗長運転

    図5.12 cの接続を行い、負荷電流(RL3に流れる電流)を1台の電源の定格電流以下とした場合、冗長運転(1台の電源が故障した場合のバックアップ運転)が可能となります。

(14)リモートセンシング

  1. 応答速度

    リモートセンシングをするとセンシング線のインピーダンスによって、誤差AMPの伝達スピードが落ち、電源の応答速度が悪くなり、動的負荷変動が大きくなります。
    従って、電源の配置や配線を工夫することでセンシングをしないで使用するのが良い使い方です。

  2. ノイズの影響

    センシング線はインピーダンスが高いので、他の回路や配線の影響を受けないよう、ツイストペア線やシールド線を使用し、大電流回路やノイズを発生する配線から遠ざけてください。

  3. 発振

    センシング線を長く伸ばした場合、誤差AMPの位相補正が狂い、電源が発振することがありますのでセンシング点及び+V、+S間、-V、-S間にコンデンサを付加してください。
    この場合センシング点に、Qの高いフィルムコンデンサやセラミックコンデンサを取り付けると、センシング線との共振周波数でのゲインが上がり、発振を起こしますので、必ず電解コンデンサをお使いください。

(15)リモートコントロール

リモートコントロールはスイッチするタイプと外部から電圧をかけるタイプ、1次側にある場合と2次側にある場合があります。
また、L(クローズ)で電源がONするものと、H(オープン)で電源がONするものがあります。
当社電源では電源シーケンスを確実にするためL(クローズ)で電源がONするタイプになっています。
リモートコントロール端子の電圧、電流は小さいので接点でON-OFFする場合は、小信号用の接点をご使用ください。
また、リモートコントロール用の配線に負荷電流などが回り込まないよう、ご注意ください。

(16)取り付け

  1. 筐体に取り付ける場合

    筐体自身の強度が充分有るところに取り付けてください。
    輸送中の振動などで筐体が弓状に振動し、電源の取り付け部に過大な力が加わることがあります。
    電源のタップを利用する場合、取付ねじの長さは内部に入り込む寸法を確認して選定してください。

  2. プリント基板に取り付ける場合

    端子強度の範囲内でご使用ください。
    ニッパなどで端子を切断する時、過大な引っ張り力が掛かっていることもあります。

(17)放熱設計

電源はパワー機器ですので、入力有効電力と出力電力の差分はすべて熱となって放出されます。
この熱をどう逃がすかが設計のポイントです。
周囲温度は実際には電源に流入する空気温度と考えてください。

  1. 自然空冷の場合

    自由空間に電源を置いた時の輻射と対流による放熱を期待しています。
    ほとんどが対流による放熱となりますので、空気が流れる隙間を充分取ってください。
    空気には粘りがあり、発熱体に直接接触している空気は動きません。
    空気自身の熱伝導で近傍の空気を暖め、発熱体から数ミリ離れた空気が対流します。
    筐体にいれる場合は内部に暖められた空気が蓄積しないよう、外部の空気の入口と出口を設けてください。
    この場合、入口よりも出口を大きめに設計すると効果があります。
    電源の設置方向によって、電源内部の素子の温度が変わりますので、使用できる温度が変わってきますので、個別の取扱説明書でご確認の上ご使用ください。
    強制的に冷却した場合はもちろん、この限りではありません。
    密閉筐体に入れる場合、筐体を介して内部と外部の熱交換が行われますので、充分大きな筐体をご使用ください。
    この場合、内部の熱気が部分的にこもらないようファンで強制的に対流させると効果があります。
    発熱量が多く内部温度が上がりすぎる場合はクーラの設置が必要です。

  2. 強制空冷の場合

    電源自体に強制空冷用のファンを内蔵していますので、周囲温度だけを管理すればよくなっています。
    ただし、空気の流入部、排出部をふさがないようご注意ください。

  3. 強制通風の場合

    外部から電源に風をあてて冷却する電源です。
    仕様は流す空気の量(1/min)または電源の複数のポイントの温度で表します。

  4. 伝導冷却の場合

    電源の発熱部品をすべてアルミ基板など、金属板に取り付け、その金属板をとおして外部へ熱を逃がす構造の電源です。
    発熱量と許容温度上昇から、必要な熱抵抗を持つヒートシンクに取り付けて放熱します。

(18)配線・接続

  1. 据置型(ユニット、基板単体)

    入力から入ってくるサージ電圧やノイズが出力に混入しないよう、また負荷や電源から発生するノイズが入力に伝搬しないよう、入力側と出力側の配線は分離、結束してください。
    出力配線は太く、短く配線してください。大電流の場合はブスバーがより有効です。

  2. オンボード、モジュール型

    入力、出力は分離し、ラインは短く、ループを作らないようアートワークしてください。
    電源の取り付け部はアースパターンか、安定電位のパターンにするとノイズに強くなります。

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