(1)ノイズとは
電圧、電流、信号等に含まれる目的以外の成分を言います。
(2)ノイズの発生源
ノイズには自然ノイズと人工ノイズの2種類があります。自然ノイズは落雷や静電気といったもので、人工ノイズには産業機器や蛍光灯など身近なものもありますが、中には通信機器など意図的に電磁波を出しているものもあります。
ノイズを発生させる機器として、スイッチング電源や汎用インバータがあります。
その内部にはFETやIGBT等のスイッチング素子があり、高周波でスイッチング動作しており主なノイズの発生源となっております。
(3)EMCとは
電磁環境両立性のことで、機器から放射するノイズを抑えるEMI、他の機器からのノイズに耐えるEMSの両方を兼ね備えていることを言います。
EMC対応品とは
EMI、EMSの要求規格を満足している製品を言います。
そのEMCにはEMI、EMSそれぞれのノイズに応じた部品が各種用意されています。
当社のノイズフィルタは主にEMIの伝導妨害に対する対策部品になります。
(4)ノイズの伝達経路
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伝導ノイズ
インバータや電源で発生したノイズが電線やパターンを伝わるノイズを言います。 -
誘導ノイズ
ノイズ電流が流れているライン(入出力線やパターン)に周辺機器の電源線や信号線が近づくことで電磁誘導や静電誘導によりノイズが誘導され伝わるノイズを言います。
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放射ノイズ
インバータや電源で発生したノイズが入力や出力ラインがアンテナとなり、放射され周辺機器に伝わるノイズを言います。
(5)ノイズ対策の基礎
ノイズの伝達にはノイズの発生源と障害を受ける側、それを結ぶ伝達経路があります。ノイズ対策の基本として、次の3つがあります。
- 発生源のノイズレベルを下げる
- ノイズを伝達しにくくする
- 機器自体の障害を受けにくくする
お客様装置の構造に応じて、ノイズに対する要求規格や品質、対策コストを合わせて対策を進めていただくことになります。
(6)伝導性ノイズの発生モード
ノイズの発生モードはノーマルモードノイズとコモンモードノイズの2つに分かれます。ノーマルモードノイズはディファレンシャルモードノイズとも言われ、電源ライン間に発生するノイズを言います。コモンモードノイズは電源ラインとアースライン間に発生するノイズを言います。
(7)ノイズの種類と対策
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高周波ノイズ
EMIノイズあるいは電源ノイズとも言われ、コンピュータのクロック周波数や電源のスイッチング周波数等の高調波成分を言います。入力側にノイズフィルタを入れて対策します。1段フィルタや2段フィルタ、汎用品や高減衰品の中から 減衰量、外形、価格を踏まえ選定します。
スイッチング電源の出力リップルノイズも高周波ノイズです。当社ではリップルノイズを抑制するDC専用のノイズフィルタSNA、SNRシリーズをご用意しております。
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パルス性ノイズ
リレーやモータ駆動時に発生するノイズです。
ピーク電圧が数千ボルトと高くなることがあるため一般的なフィルタではチョークコイルが飽和し、ノイズを十分減衰させることができない場合があります。
対策はパルス減衰特性にすぐれたアモルファスコアを使用したフィルタを選定します。当社ではNAP、EAPシリーズをご用意しております。 -
サージ性ノイズ
自然界に発生した雷が電源ラインに侵入するノイズです。
発生電圧は数キロボルト以上と非常に高く、ノイズフィルタでサージ性ノイズを抑制することはできません。
対策はバリスタ等のサージ電圧を抑制する部品を電源ライン間や電源ライン-アース間に使用します。ノイズフィルタのサージ耐量はライン間で2kV、ライン-アース間で4kV程度あります(保証値ではありません)。
これは当社CEマーク対応電源と同等の性能を持っています。それを超える耐量が必要な場合は、必ずサージ対策部品を併用してください。
ノイズフィルタについて |
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