ノイズ対策事例事例
サーボモータのノイズ対策:Step1 低域伝導ノイズの対策

標準的なノイズフィルタを使用し、サーボモータの伝導ノイズ対策を実施しましたが、低域の伝導ノイズが規格値をオーバし、対策で苦労しています。
外付けコアを追加することで対策できますが、出荷時期が近く追加部品の固定・接続方法の課題解決や機構変更する期間がありません。良い方法はありますか。
配線の工数
外付けコアの固定
外付けコアのスペース確保
コモンモードノイズが原因の可能性があります。その場合、コモンモードの減衰特性を向上させたHオプションが有効です。このオプションは標準品と外形が同じですので機構変更は必要ありません。詳細は動画、及び下記の「原因」「解決策」「解説」をご覧下さい。

原因

サーボモータのドライバ内部では電力変換用のパワー半導体がスイッチング動作をしています。
パワー半導体は発熱するため、ヒートシンクで放熱しています。
そのヒートシンクが筐体に接続されているため、パワー素子のスイッチング時に発生するノイズ電流がコモンモードノイズとなります。
スイッチング周波数は数kHz~20kHzで動作しており、その周波数の整数倍が、150kHz付近のコモンモードノイズとして現れます。

パワー半導体の放熱

サーボドライバ内部回路図

解決策

このようなサーボドライバのコモンモードノイズ対策には低域高減衰タイプのHオプションが有効です。
Hオプションは標準品と外形サイズ、取付寸法が同じですので、標準品からそのままの変更可能です。
そのため、外付けコアの固定、スペース確保、配線工数の検討が不要になります。


Hオプション使用時の雑音端子電圧
(JAC-30-683とJAC-30-683-Hの例)

解説

上記事例のメカニズムを解説します

(1)減衰特性比較

Hオプションは標準品に比べ低域のコモンモードの減衰特性を向上させています。
そのため、標準品に外付けコアを使用した時と同業の減衰効果を得られることができます。


コモンモード減衰特性比較(JAC-30-683とJAC-30-683-Hの例)

(2)コモンモード等価回路

【標準品】

ノイズフィルタのコモンモードの等価回路はチョークコイルのと接地コンデンサで示すことができます。
構成はL型のローパスフィルタとなり、コモンモードのノイズを低減します。


標準品の等価回路

【Hオプション】

等価回路は標準品と同じL型のローパスフィルタですが、チョークコイルに高透磁率チョークコイルを採用してインダクタンス値を向上させております。


Hオプションの等価回路

(3)インピーダンス特性比較

標準品のチョークコイルには、フェライトコアを使用しています。
一方、Hオプションにはナノ結晶材料のコアを使用しています。
ナノ結晶材料のコアはフェライトコアに比べ高い透磁率を持っており、低域から高いインピーダンス特性を示します。そのため、ノイズフィルタのチョークコイルに使用することで低域のコモンモード減衰特性を向上させ、コモンモードノイズに対して高い減衰効果を発揮します。


インピーダンス特性

サーボモータを複数台ご使用されている大型装置の場合、さらに高性能のノイズフィルタが必要となります。
詳細は「サーボモータのノイズ対策:Step2 ノイズフィルタ飽和の対策」の事例をご確認お願い致します。

Hオプションを以下のシリーズからご選定ください

  • ※上記以外のシリーズについては、お問い合わせ下さい。

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