ノイズ対策事例
位相制御式温度コントローラーの伝導ノイズの対策

標準的なノイズフィルタを使用し、伝導ノイズ対策をしましたが、規格値に対してマージンが少ないので追加対策を検討しています。
相間コンデンサを追加接続することで対策できますが、出荷時期が近く追加部品の固定・接続方法の課題解決や機構変更する期間がありません。良い方法はありますか。
圧着端子枚数の制限
中継端子台スペースの確保
固定・活電部処理の工数
ノーマルモードノイズが原因の可能性があります。その場合、ノーマルモードの減衰特性を向上させたUオプションが有効です。このオプションは標準品と外形が同じですので機構変更はありません。詳細は動画をご覧下さい。

原因

位相制御式温度コントローラは、交流電圧の位相に合わせてスイッチングすることで電力を調整しています。
位相制御の際のスイッチング時にノーマルモードノイズを発生させます。

  • ※スイッチング素子にはトライアック(TRIAC)と呼ばれるサイリスタを逆並列に接続した半導体が使われています。

位相制御時のスイッチング波形

位相制御式温度コントローラの回路図

解決策

このような位相制御時の伝導ノイズ対策にはノーマルモード減衰量向上タイプのUオプションが有効です。
Uオプションは標準品と外形サイズ、取付寸法が同じですので、標準品からそのまま変更可能です。
そのため、外付けコンデンサ使用時の圧着端子枚数の課題や、端子台の確保、コンデンサ固定の検討が不要になります。


Uオプション使用時の雑音端子電圧
(TAC-50-103とTAC-50-103-Uの例)

解説

上記事例のメカニズムを解説します。

(1)減衰特性比較

Uオプションは標準品に比べ低域のノーマルモードの減衰特性を向上させています。
そのため、標準品に外付けコンデンサを使用した時と、同等の減衰効果を得られることができます。


ノーマルモード減衰特性比較 (TAC-50-103とTAC-50-103-Uの例)

(2)内部回路

ノイズフィルタ内部にはノーマルモードノイズ対策に効果のある相間コンデンサを内蔵しています。
標準品の相間コンデンサはY(スター)接続ですが、Uオプションは同じコンデンサをΔ(デルタ)接続しています。


TAC-50-103(標準品)の回路図
Y:スター接続

TAC-50-103-U(Uオプション)の回路図
Δ:デルタ接続

(3)インピーダンス特性比較

TA-50-103の場合、コンデンサ接続をY→Δ接続すると相間の容量は3倍となります※1。
そのため、Uオプションは相間の低域インピーダンスが低くなり、低域のノーマルモード減衰特性を向上させます。
その結果、ノーマルモードノイズに対して高い減衰効果を発揮します。
一方、相間コンデンサをY→Δ接続すると、コンデンサにかかる電圧が大きくなります。そのためコンデンサの耐圧を考慮し、標準品は500V定格ですが、Uオプションの定格電圧は250Vとなっています。


相間のインピーダンス特性比較(TAC-50-103とTAC-50-103-Uの例)
  • ※1 Uオプションの容量については適用するモデルによって異なります。
    Uオプションの特性については各モデルの減衰特性を確認下さい。

Uオプションを以下のシリーズからご選定ください

  • ※2 上記以外のシリーズについては、お問い合わせ下さい。

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