社長メッセージ

代表取締役社長 斉藤 盛雄

株主、投資家の皆様におかれましては、平素より当社の事業運営に格別のご高配を賜り厚くお礼を申し上げます。

さて、2025年5月期における世界経済は、インフレの落ち着きによる実質所得の改善や、各国の政策金利の引き下げ傾向継続などを背景に、底堅い成長を維持しているものの、米国の関税政策の動向により景気下押し懸念が急速に拡大しております。米国では、関税政策の本格化を見越した輸入急増の反動があったものの、景気は総じて堅調に推移しました。欧州では、インフレ圧力の低下に加え主要国の政治不安が後退したこともあり、緩やかな成長を維持しております。中国では、不動産市場の構造的な問題を抱えつつも、米国の関税政策を懸念した駆け込み輸出の拡大に加え、景気刺激策が追い風となり、経済成長を後押ししました。わが国においては、企業の設備投資の拡大が継続したものの民間最終消費は横ばいとなり、景気回復には足踏みがみられました。

エレクトロニクス業界におきましては、AIの活用をテーマとした新たな投資による社会のデジタル化推進を背景に、サーバーやデータセンター向けの半導体において需要増加が継続していますが、米中関税政策等の地政学リスクの高まりが投資判断に影響し、産業機器市場における設備投資は低調に推移しました。自動車市場においては、電気自動車需要の停滞が続いており、部品や設備投資需要の低迷につながっております。

このような状況の中、当社グループでは顧客訪問営業による拡販活動を更に活発化しており、営業部門及び開発部門間の連携を図りながら、新製品を軸に重点顧客への提案活動に注力してまいりました。

新製品につきましては、FA制御機器、計測機器、表示器や半導体製造装置といった幅広い分野で利用可能なユニット型シングル出力AC-DC電源「PDAシリーズ」拡充2モデルを市場投入いたしました。また、小電力用途において幅広く市場から好評をいただいております「SU/SUCシリーズ」の後継製品として、小型汎用DC-DCコンバータ「MUシリーズ」を開発し、4モデルを市場投入しております。さらに、超小型・高効率AC-DC電源「TECS/TEPS」シリーズに電力拡充4モデルをリリースし、既存モデルと合わせて全8モデルとなり、幅広いアプリケーションに対応可能になりました。ノイズフィルタには、三相4線式「YACシリーズ」拡充4モデルを上市しております。

海外市場向けには、医療用電気機器規格に対応し、高信頼性・高安全性ニーズに応える「UMCSシリーズ」「UMPSシリーズ」2シリーズに加え、「UMAシリーズ」に電力拡充1モデルを市場投入いたしました。

また、LITE-ON TECHNOLOGY CORPORATION(以下、LITE-ON)との連携活動を営業、開発、調達などすべての機能領域において本格的に推進いたしました。営業領域では、第3四半期連結会計期間から北米販売事業においてLITE-ON製品の受注及び販売(クロスセル)を先行しており、その他の地域セグメントにおいてもLITE-ON製品のクロスセル開始に向けた取組を推し進めました。開発領域においては、LITE-ONとの共同開発品「COSELSYNC.」のブランドコンセプトを策定し、新製品の開発を協業推進いたしました。

この結果、2025年5月期の当社グループの経営成績につきましては、受注高は174億22百万円(前年同期比13.3%減)、売上高は270億52百万円(同34.7%減)となりました。利益面においては、売上高の大幅な減少による収益力の低下に加え、基幹システムの入れ替えに伴う一時的な機会損失の発生等の影響もあり、営業利益は6億28百万円(同90.9%減)となりました。また、為替による影響等で経常利益は7億40百万円(同90.6%減)となり、前年同期に比べ法人税等負担は減少したものの、基幹システムの再構築に伴う特別損失の計上等により、親会社株主に帰属する当期純損失は1億13百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益51億69百万円)となりました。

2026年5月期につきましては、世界経済の動向としては、引き続き緩やかな成長を見込むものの、米国の関税政策や米中対立等の地政学リスクへの警戒から、金融市場の混乱や景気減速の懸念もあり、予断を許さない状況が続くものと思われます。

当社グループが属するスイッチング電源市場を取り巻く環境としては、IoT、AI、5G分野の広がりにより、半導体製造装置関連は需要の回復に向かっており、FA関連機器等の需要も市場在庫の調整が進むことにより、徐々に回復していくと想定しております。

このような環境の下で、当社グループは経営理念である「品質至上」を核に、品質保証体制の強化と受注変動に強いものづくり体制の構築、新製品開発力強化に取り組むとともに、売上拡大に向けて、顧客密着営業活動と新製品拡販活動に注力してまいります。

株主、投資家の皆様におかれましては、より一層のご支援、ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。