製品と技術

コーセルの製品と市場電気で動くすべてのシステムになくてはならない「電源」

「電源」とは

「電源」は、電気で動くすべての機器、システムになくてはならない部品です。発電所でつくられた電気は、交流で家庭や工場などに送電されています。

ところがほとんどの電気機器は直流で動作します。そのためコンセントから取り入れた交流を、直流に変換しなくてはなりません。

また電気機器の中のICやモーターなどのデバイスを正しく動作させるためには、それぞれのデバイスごとに最適化した直流を供給しなくてはなりません。

そこで、交流を安定化した直流に変換する電源装置(AC/DCコンバーター)、直流をそれぞれのデバイスに最適化した電圧に変換する電源装置(DC/DCコンバーター)が必要となってきます。

これら「電源」は、家電からコンピュータ、スマートフォン、ロボット、産業機械、医療機器・・・など、電気を使うありとあらゆる機器とシステムに用いられています。

コーセルの「電源」

電機機器やシステムは、「民生用」「産業・業務用」の二つの分野に大別されます。民生用とはスマートフォンや家電、ゲーム機など個人や一般家庭で使われるもの。産業・業務用とは工場や医療、運輸通信などインフラ設備などで使われるものを指します。

コーセルの「電源」は主に産業・業務用市場に向けて供給され、写真のような機器に用いられています。中でもコーセルの主力製品である、半導体の高速スイッチング作用を利用した「スイッチング電源」は、小型・軽量・高効率などの性能が高く評価され、高いシェアを獲得しています。

ロボット・組立機械 半導体・液晶製造装置 工作機械
化学機械・成形機 食品・包装機械 その他セット機械

シェア30%超のトップ企業

「電源」には、最終製品の仕様に合わせてつくられる「カスタム電源」と、汎用性のある「標準電源」の2種類があります。
カスタム電源は大量生産される機器(民生用AV機器など)向けに使用され、標準電源は多品種少量生産される産業機械などに多く用いられます。

「産業・業務用電源」の多くを占めているのが「標準電源」で、その国内市場規模は推定約500億円。
コーセルはその30%超のシェアを誇る、国内トップ企業のひとつです。
ちなみに世界市場の規模は約2,500億円。コーセルは約7%シェアを占めています。

半導体製造装置をはじめとする機器メーカーの海外への生産シフトも進む中、「標準電源」においても海外市場の重要度は年々増大。
コーセルも世界市場の動きを見据えた、グローバルな事業展開を加速しています。

コーセルの技術小型化・高機能化・インテリジェント化進化する電源

アナログ技術の粋

プリント基板上に複雑な回路を形成し、多いものなら数百点もの微細な部品を搭載してつくられる「電源」。
高密度に集積された回路からは、設計段階では想定できない「ノイズ」や「熱」が生まれ、機能を阻害しトラブルの原因となります。

開発者は、回路パターンや部品のレイアウトを工夫しながらノイズや熱を回避し、求められる性能をつくり出します。
それはまさにノウハウそのものの世界。
「電源」が「アナログ技術の塊」と呼ばれるゆえんです。

コーセルはこれまでの試行錯誤の中から独自のノウハウを構築。
電磁界シミュレーションや熱流体シミュレーションなどの設計技術、製造工程で用いられる材料技術、生産技術として蓄積しています。

小型化・高効率化

“小型化”のあくなき追求は、電源をはじめとする電子デバイスの宿命です。
高密度回路の開発や、最新の小型高機能部品の実装レイアウトの最適設計などを駆使し、製品のダウンサイジング化に挑戦。
小型・高効率の製品開発に取り組んでいます。

デジタル技術との融合

「アナログ技術の塊」と呼ばれてきた電源に、2000年頃から大きな変化が訪れます。それまでアナログ回路で出力電圧をモニターしスイッチング素子のオン・オフを制御していたのですが、ここにマイクロプロセッサとソフトウェアを使った制御技術――デジタル制御が登場してきたのです。

当社もいちはやくデジタル制御を取り入れ、従来からのアナログ技術との融合を果すことで、より高度な機能を持つ電源製品を開発。今日では「頭脳を持つ電源」として、新たな世界を切り開きつつあります。

電源のインテリジェント化

蓄積してきたアナログ技術とデジタル技術の融合によって生まれる新たな電源――コーセルではそれを『IPS=Intelligent Power System(知能を持った電源システム)』と名づけ、実用化に向けて研究開発を進めています。

電気の「窓口」となる電源には、例えば電機機器の稼働状況や負荷状況など、電気に関するあらゆる情報が集中します。それをマイクロプロセッサで収集・解析しフィードバックすることで、機器やシステムをより効率的に稼動させる。故障解析や故障予知に活用する。通信機能を付加することで遠隔監視・遠隔操作などを可能にする・・・そんな世界も拓けようとしています。

「電源」の新しい可能性に向けて、コーセルは挑戦を続けます。