1. ＳＣＣＲとは

SCCRとは、Short-Circuit Current Ratingの略であり、短絡電流定格の事を指し、各動力回路の機器が持ち合わせている短絡電流に耐えられる限界の電流値を意味します。

北米向けに機械を輸出する場合、米国電気工事規程（NEC）や産業機械の電気安全規格であるNFPA79より、産業用制御盤へSCCR（Short-Circuit Current Rating）の値を表示する事が義務となっております。

2. ＳＣＣＲが要求されるケース

項１に記載の通り、主に北米向けの産業機械、産業用制御盤(UL508、UL508A等)にはSCCRの表示が義務付けられております。
また、半導体製造装置等の規格であるSEMI S-22^※1、国際規格のIEC60204-1、日本のJIS規格(JIS B 9960-1)を含む各国家規格におきましても、SCCRに関する記述があり、北米を含め、世界レベルでも同様にSCCRが求められるものと考えております。

※1：半導体/フラットディスプレイ（FPD）製造装置・材料メーカーなどの国際的な業界団体であるSEMI（Semiconductor Equipment and Materials International）が半導体産業の国際工業規格の統一を目的に定めた規格。
SEMI S22は、半導体製造装置の電気機設計のための安全に関するガイドラインとなります。

3. 当社製品のＳＣＣＲ対象可否について

表3.1に当社製品のSCCRへの対象可否を示します。

電源につきまして、主回路部分は、主にUL508A^※2に規定されている対象外部品(抵抗・コンデンサ・コイル)で構成しております。また、電源内部にはトランスを実装しており、一次側部分が直接動力機械に接続されてないことから、UL508Aに規定されている対象外部品のトランスと同様であるものと考えております。

ノイズフィルタにつきましては、UL508Aの規格書内(2020年8月現在)に、SCCRの対象部品となっていることから、UL508A　表SB4.1で定める見做し値の適用、また、当社一部製品は第三者申請機関(UL)を通じてSCCRの評価を行っております。ノイズフィルタの詳細なSCCR値につきましては、下記ページで製品をまとめています。

※2：UL508Aは、産業制御盤の設計を定めた安全規格になります。

4.　ノイズフィルタSCCR対応状況について

UL508A 表SB4.1からSCCR見做し値(試験不要で適用可能なSCCR値)と、第三者申請機関(UL)を通じて評価致しましたSCCR値を以下に示します。

＜UL508A 表SB4.1からSCCR見做し値(試験不要で適用可能なSCCR値)＞
ノイズフィルタはUL508A記載の通り、UL1283、UL60939-3認定品であれば、表SB4.1より、見做し値としてSCCR値が適用可能です。

＜第三者申請機関(UL)で評価したSCCR値＞
上記よりもさらにSCCR値を上げるため、コーセルでは一部の製品で第三者申請機関(UL)を通じてSCCR評価を実施しております。申請はノイズフィルタ前段にListed認定品ブレーカを実装し評価を行っております。
Listed認定品ブレーカであればどのメーカのものでもご使用可能ですが、SCCR値を満足するためには必ずノイズフィルタ前段にListed認定品ブレーカを実装する必要があります。
※評価条件の詳細を示した、レポート等のご請求につきましては、こちらよりお問い合わせください。

Q＆A　ブレーカの選定方法について
https://www.cosel.co.jp/technical/qanda/a0048.html

Q＆A　ヒューズの選定方法について
https://www.cosel.co.jp/technical/qanda/a0047.html